好きなもの
仕事を通して、そして暮らしの中で、
私がずっと大切にしてきた「好きなもの」について書いてみようと思います。
大学を出て初めて働いた会社は、鉄骨系の住宅メーカーでした。地震にとても強いことを売りにしている会社です。
そこで担当していたインテリアコーディネーターの頃の仕事は、
床材やクロス、設備、外壁や屋根の色を決める事でした。
選べる範囲は限られていましたが、その中からお客様と一緒に悩み、選ぶ時間はとても大切なものでした。
その後、木造住宅の熊本の会社に転職しました。
そこでは、それまでは使うことのできなかった様々な材料を扱うことができました。
夢中で素材を調べ、サンプルを取り寄せ、お客様に提案する日々でした。
その中で出会ったのが、無垢の床材やオーダー建具・家具、ビニルクロス以外の壁仕上材、そしてステンドグラスでした。


床や壁、建具は毎日触れる物だからこそ、素材が良いと飽きが来ないと感じました。
中でもステンドグラスは、
光が通った時のガラスのきらめきや、壁や床、天井に映る影の美しさがとても印象的でした。
南阿蘇のZAZA glass workの塩田さんの工房へ、幾度となく足を運んだことを覚えています。
初めてステンドグラスをオーダーしたのは、
36歳の時、マンションをリノベーションした際でした。
当時好きだったファローアンドボールの壁紙を貼り、
色や柄の雰囲気を塩田さんに伝え、イメージに合わせて制作して頂きました。

45歳で独立した際、事務所に取り入れたステンドグラスは、
塩田さんがフランク・ロイド・ライトをオマージュして制作されたパネルでした。
透明なガラスの中に、ブルーと白のガラスが規則的に散りばめられた、今でも大切にしている一枚です。

三度目は、自宅の建替えの時でした。
トイレと洗面室の建具に入れるパネルを製作していただきました。
自然がとても豊かな場所なので、自然を家の中でも感じられるよう、雲と植物をモチーフにしたデザインをおねがいしました。
そして、54歳の仕事部屋の増築工事の際です。
これが最後のオーダーかもと思った時、頭に浮かんだのは、ル・コルビュジェのロンシャン礼拝堂でした。
初めて写真で見た時のステンドグラスのインパクトは、今でも忘れられません。
本当は現地を訪れてみたいのですが、まだその夢は叶っていません。
それでも少しでも雰囲気を取り入れたいと思い、
色やガラスについて相談し、デザインは塩田さんにお任せしました。

建築後、改めて思うのは、建物は「空間をつくれる」ということです。
その空間に身を置き、過ごすことができる。
だからこそ、好きな空間がつくれるのであれば、つくった方が良い。
暮らしはきっと、少し楽しくなると思います。
これは、私の好きなもののお話です。
好きなものや、暮らしやすさは人それぞれ違います。
自分の「好き」や「暮らしやすさ」を探して、
日々の暮らしが少しでも楽しくなれば、それはとても幸せなことだと思います。